静寂の中で
Maana Kamoのデザインに大きな影響を与えたものは、京都の美しさと、そして神々しさです。思考を深めること、そこに必要な、私たちの内なる静けさ。その大切さを引き立てるためのデザインを施しました。
アートと建築の境界線を曖昧にすることで、厳格な調和に対して私たちがどのように感じるのかをこの家で表現しています。古いものと新しいものが隣り合っているこの繊細なバランスこそまさに、現在の京都が持つ独特な文化そのものなのです。
建築
伝統的な日本住宅の美しさの本質は、その構造的な要素の中にあります。およそ100年前に建てられたこの家の素材は木や粘土といったシンプルなものですが、現代の日本の家とは異なり何世代にも渡って受け継ぐことのできる構造になっています。
放置されたこの家に並んでいたのは、ビニール素材の壁、タイルの天井、そして壊れた床板。それらを撤去したところ、この家が元々持っていた梁と土壁が現れました。年月を経たこの美しさをそのまま生かしそこに焦点を当てることは、私たちのデザイン哲学の中核とも言えるものです。
インテリア
この家の目的は、自分自身の中の雑音を静めることです。視覚的に静かな空間をデザインすることで生まれる、瞑想のための静かな場所です。
シームレスなオープンキッチンには、家電製品が見えないように配置されています。アイランドキッチンには、水に濡れても大丈夫なように、日本の伝統的な木工技術である漆を使っています。
ドラマチックな大きさの室内バスタブは、この家の中心であり、自分を大切にし、考えることの重要性を表現しています。
装飾的な要素は最小限に抑えられています。むしろ、質素な生活を反映した骨董品や工芸品が家の中に散りばめられています。
“静まり返った心に、世界のすべてが委ねられる”
—Lao Tzu
