初めての京都で魅力に感じるものは、やはりその街並みや風景です。しかし、この街に完全に夢中になる理由は、京都には果てしないほどの驚きが層のように重なっているからなのです。この街の何かがあなたの感覚を目覚めさせ、あなたはそれを知るための旅へと導かれていくでしょう。
私たち海外からの目に映る京都の美しさと完璧さは、シンプルながらも奥深い生き方を見させてくれます。私たちが作りたかったものは、自宅のように寛ぐことができ、生き方や考え方が刺激されるような特別な体験ができる、そんな隠れ家なのです。
Maana Homesは、町家修復の専門家である京都の建築家・魚谷繁礼氏と協力しました。
修復にあたって私たちが目指したことは、ただ変化させることではありません。建物本来の個性を活かし、間取りの変更は機能的な問題を解決するための最小限のものだけに抑えました。このようにして、現代的でラグジュアリーかつ快適なMaanaの家として生まれ変わったのです。
天井の梁と土壁の一部は、伝統的な町屋の構造をご覧いただけるようあえてそのままの姿にしています。天窓から降り注ぐ自然の光はこのオープンな階段を抜け、Maanaの家のすべてを明るく照らしてくれます。
Maanaのデザインスタイルとは何か?という問いにはいつも「特定のスタイルに定義させたくない」と答えます。
家そのものの建築的な価値に敬意を払いながらあたたかなおもてなしを提供したいという私たちの考えは、従来の典型的なホテルのコンセプトとは全く異なるものです。この新しい試みは、ゲストのみなさまと私たちとの繋がりを深めてくれます。
奥深い美しさ ー それは、飾りを必要としない輝き
中心となる作品は、日本の伝統的な染色方法である引染(ひきぞめ)を用いて筆の動きを表現した、地元の染織家・中島岳志氏による委嘱作品です。
陽当たりの良いこの部屋には、集まったり、仕事をしたり、料理をしたり、お茶をしたりと、自由に楽しむスペースとしてこのキッチンカウンターを設置しています。入口とこの部屋を隔てていた壁は取り壊し、代わりに日本の木製スクリーンを取り付け、さらに開放的な空間になっています。
このアイランド式のキッチンカウンターは、拭き漆と呼ばれる技法でコーティングされています。拭き漆とは、9000年前から日本に伝えられている漆塗りの一種で、天然の木目を活かしつつ湿気やカビから木材を守るという、世界で最も耐久性のある天然漆の技法のひとつです。
古いギャラリーキッチンを再利用して、庭のモミジを眺められる贅沢なバスルームにしました。ナチュラルなテクスチャーが、このミニマルなリラクゼーションスペースに独特の統一感を与えています。リラックスできるこの小さな空間から音も形も完全に無くしてしまうよう、色のトーンは最小限に抑えられています。
浴槽は信楽地方の職人が手づくりした陶器のバスタブです。信楽焼はその地方の良質な土から作られる陶器としてとても有名です。